遠方の両親の介護問題
50歳代の方であれば、ご両親の介護の問題が気になっている方も多いのではないでしょうか。
遠方に住むご両親がいて、今のところ何とか2人だけで生活している場合には、どちらかが体調不良になれば、介護をどうしたものかと悩むと思います。
本日新たに訪問診療が開始となったケースをご紹介します。
ご夫婦とも80歳代で息子さんは30km離れた町に住む50代の方です。
夫は昨年より食事があまり取れなくなっていて、病院で精査をしましたが原因がハッキリしません。次第に起き上がることも困難になってきて、現在は食事以外は1日中寝て過ごすようになりました。
今までは近くの開業医にかかっていましたが、通院も困難になってきたため訪問診療の紹介となりました。
ご夫婦共に認知症はなく会話もしっかりされている方です。
在宅医がお伺いして、まず確認することは次の2点です。
1つめは、これまでかかっていた医療機関からの紹介状を見ながら、現在の病気がどのような状態にあって、ご本人・ご家族はどのように理解されているか。
2つめは、主に介護を行っている人、及び家族情報を集めて、介護がどの程度できるのか。
という事です。
今回のケースでは食欲が落ちてきた原因はハッキリしていないことを理解されていて、体がしんどいのは食事が取れていないためと考えていました。ただ困っているのは便が出にくいことと薬が飲みにくい事についてで、食事が取れていない事については余り困っていないようでした。
介護者は奥さんのみで、遠方の息子さんは直接介護に参加することは困難のようでした。現在は自分でトイレに行けていますが、これが不可能になれば自宅介護が困難と考えられる状況です。
今回のケースは確かに食事量が減っていますが、本人が困っているのは便秘でした。内服薬も胃薬関係と便秘の薬がほとんどでした。
妻は食事をたくさん食べて、以前のように元気になって貰いたいと思っています。
今後の方針としては、相談の結果、内服薬を少し減らすことにして、その他は診療の中で徐々に考えてゆくこととなりました。
この方には、すでに介護保険が導入されていて(要介護5)週1回の訪問リハビリが入っています。動かないことによる廃用症候群になっていると考えられますのでリハビリは継続することにしました。
今後必要と思われるサービスについて考えました。妻の介護負担が増えたと感じられる時にはヘルパーや訪問看護の導入が必要となる可能性があります。
また、日中預かってもらうデイサービスや宿泊するショートステイのサービスの利用も必要となるかもしれません。
どうしても家では面倒が見られないとなれば、施設入所も考えなければなりません。
介護サービスも医療保険も、所得に応じて負担割合が異なりますが、一定のお金が必要となります。
家族による介護負担と金銭負担を上手く考慮して、納得のゆく形で介護を考えることが大切だと思います。