施設 生き残りの為の看取り
私たちが訪問診療を行っている先は、患者宅か施設になります。
今日は、施設での看取りに関するお話しです。
介護施設の現状
施設には特別養護法人ホーム、老人保健施設、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など、色々な種類があります。公的なものもありますが、医療法人や一般企業が経営するものもあります。介護保険導入当初は、色々な優遇措置もあった為か、他業種から介護事業に参入してきた企業も多くあって、施設の数が一気に増加しました。
しかし、施設は建物だけあれば運営出来るわけではありません。施設事業は、ある意味「サービス業」だと思います。そこでサービスを提供している人のレベルによって、中身が大きく左右されているのです。
介護職の環境
施設で働く人の大半は、介護職の方々です。介護の仕事は麻痺のある人を抱えたりする肉体労働ですし、夜間の交代勤務もあり、長時間労働を強いられるなど、労働環境は決して良いとは言えません。その上、財源不足から介護報酬が頭打ちとなっていて、介護職の賃金が低いまま据え置かれています。こうした理由から、離職率が高い職種となっています。
生き残りの為の看取り
ところで、団塊の世代が75歳の後期高齢者になる2025年までは高齢者が増えてゆきますが、施設の数は次第に頭打ちとなります。そうなれば、「施設の質」が問われる時代となります。
施設は、生き残りをかけて質の向上・差別化を図らなければなりません。
利用者の為に、設備を良くするとか行事を頻繁に行うという事なども必要ですが、一番大切なのは、「施設で最期まで看取る」ことだと私は思います。看取りこそ施設に求められるサービスです。
看取りのためには
看取りの為には、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者に加えて、ケアマネージャーなどの多職種が連携することが必要です。その中には、もちろん介護職も含まれます。介護職は、施設の中では大多数を占めており、患者・利用者にとって「最も近い存在」です。
介護職の方の「看取りに対する知識や経験が豊富」で、更に「不安を抱えることが無い体制」が出来ていてはじめて、施設看取りが可能となると思います。