高血圧について
生活習慣病といわれる病気の中には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などがあります。
今日はその中でも高血圧についてお話ししたいと思います。
日本人の従来の食生活は、塩分を非常に多く含んだものが中心でした。
このため高血圧患者の割合が高くなっていました。
塩分を多く取る事によって血圧が上がります。
血圧が高くなると脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や心筋梗塞などを引き起こすと言われています。
日本人の場合は、とりわけ脳出血が多くて、死亡原因の1位、2位を常に争っていました。
最近では医療技術の進歩によって、死亡する事も減ってきたので死因の順位は下がっています。
高血圧の治療は、まず『食事療法』と『運動療法』です。
『食事療法』では一日の塩分量を少なくします。
入院した時に高血圧の患者さんに提供される食事の塩分は6g未満となっています。
これは日本人の平均の塩分摂取量の約半分です。
入院中の食事がおいしくないと言われる原因の一つには、塩分量が少ない事があると言えます。
外来でも高血圧の患者さんに対して食事指導を行います。
「塩分を控えて下さいね」と伝えるだけでは、なかなか効果が上がりません。
具体的には以下のようなお話しをします。
- 梅干1個には食塩2グラムが入っています。3個食べればそれだけで一日分です。
できれば梅干は食べないようにして下さい。梅干し以外の漬け物も控えるようにして下さい。 - うどんなどの麺類は、麺の中にも汁の中にも塩分が入っています。
麺類が好きな方は、せめて、残った汁だけでも飲まないようにしましょう。
『運動療法』では週に3回以上、1回20分以上の散歩など定期的な運動を勧めます。
『食事療法』や『運動療法』を行ってみても、血圧が下がらない方には、『薬物治療』を行います。
高血圧の程度が高い人の場合には『食事・運動療法』と『薬物療法』を同時に始める事もあります。
よく食事や運動は今まで通りで、薬だけ飲んで治したいという方がいらっしゃいます。
しかし、薬だけでは中々うまく下がらない事が多くて、ずっと薬を飲み続けなければならないという精神的、金銭的な負担が大きくなります。
出来れば薬に頼らずに、健康な体を維持する事が出来たらそれに越したことはありませんよね。