頭をうって怪我 頭部外傷


自宅や施設で転倒して頭を切ってしまったと、往診に呼ばれることが度々あります。
以前も書いたことがありますが、お年寄りの転倒はその後、要介護のきっかけとなることが多く注意が必要です。
転倒では『骨折』も重要ですが、今日は頭の怪我『頭部外傷』の話です。

Stroke ( Cerebrovascular accident ) . film x-ray skull of human with red area ( Medical , Science and Healthcare concept and background )

頭を打つと、よく『たんこぶ』ができると言います。腫れて痛みがあったり、青あざになっていることもあります。それだけなら良いのですが、頭は骨と皮しかありませんので、少しのことで皮膚が切れやすくなっています。このために頭が切れて出血することになります。
また、高齢の方では、『脳梗塞』後や『心房細動』などで血液サラサラになる薬を飲んでいる方が結構います。そうすると一旦出血すると、更になかなか止まりにくくなってしまうのです。

出血時の注意点

出血している場合は、とにかく血を止めることが必要です。
タオルやガーゼなどで出血しているところを、圧迫します。だいたい20分ほど圧迫していれば、ほとんどの場合は止まります。これを圧迫止血といいます。
完全に止まったと確認できるまで、力を入れて兎に角、圧迫し続けることが大切です。

それでも出血が止まらない時は救急車を呼んで下さい。

危険な症状

転倒後に頭痛や嘔吐、意識がおかしいなどの症状が出現した場合は、脳も障害を受けている可能性があります。
この場合も救急車を呼ぶべきです。

その他注意点

頭以外の全身もよく見ること

頭の傷が目立ちますが、他に骨折がないか全身を見ることが必要です。
手足や腰が骨折していることもあります。

転倒の様子が大切

転倒する様子を誰かが見ていた場合には、どんな風に倒れたか、意識が無くなって倒れたのかどうか、バランスを崩して倒れてしまったのかなどの情報を医療者に伝える事がとても大切です。
意識が一時的に無くなる『失神』によって転倒したのであれば、失神の原因を調べる必要があります。

しばらく様子を観察する

頭をぶつけたあと、頭の中で僅かな出血が続き、数週間から1ヶ月後に症状があらわれる、『慢性硬膜下血腫』という病気があります。
症状は急にぼんやりしたり、訳が分からない行動をとったり、受け答えが出来なくなったりします。歩行が困難になったりもします。
こういった症状は認知症と区別がつきにくいのですが、急に進行することが特徴です。
治療は頭の中に溜まった血液を取り除く手術を行います。
早期に手術をすれば完全に元に戻りますので、怪しいと思ったら、病院を受診してCT検査を受けることが必要です。

予防対策

設備の面では

  • 照明を明るくする
  • 手すりをつける
  • 床を滑らないクッション性のある材質にする

等が有効です。

夜間はポータブルトイレを利用することなども、検討してもいいかもしれませんね。

転倒するときは一瞬です。日頃から注意しておくことが必要です。

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