家での看取りの条件


老衰やがんを患ったりした方およびそのご家族が、最期をどこで過ごすか悩む人は多いと思います。慣れ親しんだ思い出深い家で最期を迎えたいと思う方も居れば、医療設備が整った病院が良いと考える方もいます。

以前にもお話ししたことがありますが、家で看取ることが出来るための条件について再度まとめてみたいと思います。

家での看取りの条件

  1. 点滴は極力少なくし、いよいよ最期が近い時は中止すること
    これは、次の吸引の頻度にも関連します。点滴は外部から強制的に水分を体内に入れるための処置ですが、看取り段階では最早水分は体内で処理ができなくなって来ます。そうすると余分な水分が手足の浮腫みとなって現れたり、腹水や胸水が溜まったり、唾液や痰となって出てきます。胸水が溜まれば呼吸困難になりますし、唾液や痰が増えれば吸引をしないと窒息や誤嚥を起こします。点滴を絞ることで、余分な水分がなく枯れるように亡くなります。吸引する必要も無くなり、呼吸も楽になります。
  2. 吸引の頻度がそれほど多くないこと
    吸引は吸引器につないだチューブを口や鼻から入れて、喉の周りやその更に奥の気管に溜まった痰や唾液を吸引することです。痰や食べ物が気管に詰まり窒息を起こしている時には、吸引が絶対に必要です。吸引できなければ、そのまま窒息死することもあります。
    しかし、意識が無くなっている方や、喉の反射が弱っている人以外は、この吸引は本人にとってはとても苦痛です。必死で抵抗することも多く、手足を抑えたりしながら吸入することは、行う側も相当大変です。
    通常は医師や看護師などの医療者が吸入を行いますが、1日に何度も吸入が必要となると、ご家族ができなければ間に合いません。夜中に吸引が必要な回数が増えれば、家族は寝ることもできません。
  3. 本人・ご家族が家での最期を希望されていること
    本人・ご家族の希望があることは当たり前ではありますが重要です。家での最期は、近い将来やってくる「死」に向き合い受け入れる心の準備ができてないとできません。
    「なんとか助かる方法はないのか」、「出来るだけ1分1秒でも長く生きるにはどうすればよいか」と思い悩み死を受け入れることができない人は、病院にいることの方が安心です。
最期をどこで迎えるのが良いかの問いに正解はありません。いろいろ思い悩んで出した結論はおそらく最善のものだと思います。

 

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