『認知症』で施設入所
新たに有料老人ホームに入所となった80代女性の話です。
これまで特に病気をわずらうこともなく、夫を亡くしてからは一人で暮らしていました。
長男と長女は数十キロ離れた街にで、それぞれ独立していますが、時には週末に母親の様子を見に田舎に帰っていました。
状態変化
今年に入り食事量が減り、辻褄のあわないことを言うようになりました。
心配した長男、長女は街中の施設入所を考えましたが、本人が嫌がった為にしばらく様子をみていました。
すると、夜間や早朝に毎日のように息子さんの所に電話をかけるようになり、近所を突然訪問しては「息子はいないか」と聞いて回るようになりました。
どうも息子さんは自分同居していて、昼間は街に働きに出ていると思い込んでいるようでした。それで、夜間に戻らない息子を心配してのそのような行動だったのです。
このために、急遽施設入所となりました。
『アルツハイマー型認知症』です。
『アルツハイマー型認知症』の症状
『アルツハイマー型認知症』では、記憶が無くなってしまう記憶障害、判断力の低下、日時や場所が分からなくなる見当識障害がみられるようになります。これらは『認知症』の中心的な症状で中核症状と言われます。
人によっては、興奮したり、暴言・暴力があったり、あちこち歩き回る徘徊(はいかい)をしたりといった、介護者にとって大変な症状である周辺症状がでることがあります。
この方の場合は、記憶障害はかなり進んでおり、判断力の低下もみられましたが、見当識はある程度保たれています。周辺症状はほとんどありません。
施設入所して穏やかに暮らしています。夜間の電話もなくなりました。
今回の入所を契機に、息子さんや娘さんと離れて暮らすようになったと思っているようです。
施設看取りの希望
息子さんと面談したところ、このまま施設で最期まで看て欲しいとのご希望でした。
施設での看取りは可能ですが、そのための条件として次の2点を説明して、ご理解いただきました。
- 看護師が常駐していない施設なので、夜間は介護だけとなるため、吸引や点滴が毎日毎晩必要になると施設では対応出来ないこと
- 食べられなくなったら、自然な形で無理な点滴は行わないこと
息子さんはアラフィフ世代です。私も母親の施設探しで困ったことを思い出しました。