病院での最期
今日、在宅でずっと診てきたAさんの入院先を訪問して来ました。
その方は70歳代男性で、閉塞性動脈硬化症という動脈が詰まる病気で両方の足を切断しており、肺気腫で肺の機能も落ちている方です。
何度か入退院を繰り返しながらこれまで過ごしてきましたが、徐々に全体的な体力が落ちてきて、肺炎を起こして1月中旬に再度、病院に入院しました。今回は帰って来られないかもしれない、と予感しながら病院を紹介しました。
入院期間が1ヶ月半を過ぎて長期となったため、本日ご様子を伺う為に病院に訪問したのです。
病室では呼びかけに目を合わすことも出来ない状態のAさんが、点滴や酸素マスク、モニターをつけられた状態で横になっていました。
全身にはむくみがでていて、痰が多くなっていました。痰を吸う吸引が一日に何回もおこなわれているようでした。
誰の目にも残り時間は少ないのがわかります。
奥さんも覚悟を決めていると言います。
病院は治療を行う場所です。亡くなるだろうと思っていても最期がくるまでは何とか治療を行う努力をします。
点滴を止めたら、むくみも痰も減って本人も楽だろうと思いますが、病院ではそれは出来ない場合が多いのです。
また、この方は最期は病院でないと困る特別の事情があります。
最期は家に連れ帰り楽に逝かせてあげたいと奥さんは思っていても、それは出来ないのです。
「もし、少しの時間でも家に帰らせるという事になれば、いつでも連絡下さい。駆けつけますから。」とお伝えする事が精一杯でした。
病院でしか出来ない事は沢山あります。
でも、在宅でしかできない安らかな最期もまたあります。
最期を迎える場所として、『家という選択肢』もある事が一般的に広まるといいなあと思います。