入院・手術で変わる人生観


突然の病気で入院すると、それまでの生活が一変してしまいます。
ましてや手術を受ける事になれば、入院も長期に及び、資金的にも精神的にも負担が大きくなります。
出来たら、病院には関わりたくないですよね。

healthcare and medical concept , Close-up of surgeons hands holding surgical scissors and passing surgical equipment , motion blur background.

今日は、入院・手術のお話しです。

心臓手術の体験

8年前になりますが、私は心臓手術を受けました。『僧帽弁逸脱症』という病気で、心臓の中の弁の一つ僧帽弁が上手く閉じることが出来ず、体に送られるはずの血液が心臓の中で行ったり来たりして滞留してしまう病気です。

ハッキリとした原因は不明です。医学部在学中の40歳の時に偶然診断されました。
治療は、手術しかありません。胸を開いて心臓を止めて、心臓の中の弁を加工する大がかりな手術です。場合によっては、人工弁に取り替える必要もあります。「いつかは手術が必要」と聞いていましたが、特に自覚症状もない為に決心がつきませんでした。

ところが、研修医になった頃から徐々に心不全の症状が現れ出しました。このため研修医2年目が終了する時に、思い切って手術する決断をしました。
幸い手術は成功し、3週間の入院を経て、リハビリを継続しつつ、約2ヶ月後には職場復帰が出来ました。

入院は生活を見直すチャンス

「入院や手術は、出来ればしたくない」というのは誰しも同じだと思います。
元の生活に戻れるならまだ良いのですが、場合によっては体に障害が残ったり、行動に制約がついて、生活スタイルを変えざるを得ないこともあります。

しかし、悪いことばかりではありません。見方を変えれば、今までの生活を見直す良いチャンスなのです。
普段、空気のように意識することのない自分の体が、急に思うように動かなくなったり、苦しくなったりすることによって、【私】という、この体の存在を嫌でも意識します。
体が悲鳴を上げるような、無茶や生活を続けていたことに気づかされます。
そして、当たり前のように生活出来ることが、実はとてもありがたいことに気づかされます。

今までの生活の中で【何が大切なのか】を改めて考え、生活スタイルを変更するきっかけともなります。

手術中、私の心臓は45分間止まっていましたそうです。大げさに言えば一旦死んでいたも同然です。
手術の翌日、目を覚ましてまず思ったことは「ああ、私は生きている」ということでした。

それからは、あまり無理はしないように心がけるようになりました。
アルコールもやめました。

今は、取りあえず8年間体調不良なく生活できていることに感謝しています。

入院手術は悪いことばかりではありません

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