薬の話
私たち在宅医は、家や施設に診療に伺います。その時は、診察して薬を処方することがほとんどです。
今日は、訪問診療の薬についてのお話です。
ポリファーマシー
高齢の方の場合は、複数の医療機関にかかっていることが良くあります。例えば、高血圧は〇〇循環器科、腰痛と膝痛は〇〇整形外科、睡眠剤を貰いに〇〇内科、白内障で〇〇眼科といった具合です。
そして、それぞれの医療機関の前にある薬局で薬を貰って帰ります。気がつくと沢山の薬を飲むことになってしまいます。
これを、英語で「ポリファーマシー」と呼んでいます。
薬は最低限に
薬は一つ一つは治療に必要であったり、症状を緩和する為に有効だから飲みます。しかし、沢山のくすりを同時に飲むと、薬同士が悪影響を及ぼすことがあるのです。
また、それぞれの診療科で貰う薬には、胃薬などが重複していることがあります。そんな訳で、薬は必要なものに絞って飲むことが大切なのです。
薬局は一つに
何でも相談できる「家庭医(かかりつけ医)」を見つけることが出来れば、全ての症状を把握した上で、「必要最低限の薬の処方を受ける」ことが出来ます。ただ、身近に頼りになる家庭医が余り居ないというのが現状です。
そこで、対策としては、「先ずは薬局を一つにする」ことです。処方箋は、調剤薬局であれば、全国どこでも有効なのです。病院の目の前の薬局でなければいけない理由はありません。
家の近くの薬局から「全ての薬を貰うことにする」と、少なくとも薬の重複は避けられます。
最近では、薬局の薬剤師から処方をした医者に薬を減らす提案が出来るようになっていますので、上手くゆけば薬を減らすことも出来るかもしれないのです。
訪問薬剤師
以前にもお話ししたことがありますが、在宅診療に伺っていて状態が悪い方には、薬剤師が自宅に薬を持ってくる「訪問薬剤師の配薬」サービスをお願いすることがあります。
24時間365日対応してくれます。夜中に往診で呼ばれて薬が必要になった時にも、速やかに対応しても貰えます。
本当に、頼りになる存在です。
「クスリはリスク」です。上手く使ってゆきたいですね。