ペットの居る風景
訪問診療にお伺いすると、家の中でペットを飼っているところが時々あります。
今日は、人とペットの関係についてのお話しです。
大型犬に悩まされた思い出
都会で診療を行っていた時の話です。
ある患者さん宅で、家の中で大型犬を2頭飼っていました。訪問に伺う度に大きな威嚇する声で吠えます。巨大な柵に入れられていましたが、柵に体当たりする音と唸り声には少し恐怖を覚えました。
そして、何よりも辛かったのは獣臭です。
平屋の長屋に住んでいましたが、部屋を閉め切ってエアコンをかけているので、その独特の臭いが部屋中に充満していたのです。一緒に訪問した初期研修医はその後吐き気を催して、その家には2度と行けなくなった程でした。
マスクが必須で、息を止めて診療していました。
寝たきり女性のベッドで遊ぶミニチュアダックス
ひどい『リウマチ』があって、寝たきりの女性のところにはミニチュアダックスがいました。ベッドには階段様のクッションがついていて、ベッドまで上がることが出来ます。
時には患者さんの上に乗っかることもあります。
始めのうちは訪問すると、別の部屋の方に隠れていて遠くから吠えていました。しだいに慣れてくると、お腹を見せて構ってほしいと催促をするようになりました。
患者さん同様に高齢の犬です。最近は白内障になって、ベッドにも上がる事ができない様子です。患者とどちらが先になるのか気になる所です。
インコと暮らす重度の『視覚・聴覚障害』の独居女性。
訪問に伺うと部屋の中をインコが飛び回ります。
頭や肩に乗ってきたりします。うんちにも要注意です。毎回、油断のおけない診察でした。
さすがに困った為に、診察時は籠に入れて貰うようにお願いしました。おかげで、落ち着いて診察が出来るようになりました。
青色なのになぜか「みどり」という名前です。
ネコ2匹と暮らす母娘
母親を娘さんが介護しているところには、ネコが2匹います。
ネコにも性格があるようで、1匹は人なつこくて特に男性が大好きです。看護師と一緒に伺いますが、いつも私の脇から離れません。時には肩や頭に登られてしまいます。
半袖だと爪を立てられてしまいますので要注意です。
『ネコ引っ掻き病』になったら労災です。
ペットは家族
ペットは飼っている人にとっては家族同然です。
病院の診察室にペットが来ることはありませんが、ペットと共に暮らす生活が患者さんの本来の姿です。その家族のありのままの状態の中で医療を提供して、生活を送って貰える。
動物が動き回るなかで診療するのは、在宅診療ならではです。