親の施設の選び方
親が歳をとり介護が必要になってきて、悩んだ末に施設入所を考える時に、さてどこの施設に申し込めば良いか悩むところだと思います。本日は施設の選び方についてお話しします。
施設選びで大切なこと
施設の選択で大切なのは、その施設がどういうスタンスで運営されているのかを知ることだと思います。
極端に言えば、お金儲け目的の施設もあります。介護保険導入を機に、およそ介護とは関係のない会社が、介護業界に参入してきました。これらの中にも真面目に介護に取り組んでいる施設もありますが、中には建物が立派でも中身が伴っていないという事もあるように思います。
施設の種類
施設には種類が沢山あります。
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームなどです。入居者の介護度や認知度によって入居できる施設に、ある程度の違いがありますし、施設の種類によって費用も差があります。
介護保険を利用している方であれば、ケアマネージャーに良く相談することが大切です。
「みんなの介護」などネットで検索すれば、わかりやすく説明がありますので、ご参考にしたら良いと思います。
ケアのレベルの差
私は在宅医として、施設にも訪問診療を行っています。
このとき感じる事は、同じ施設分類になっているところでも、ケアの内容には大きな差がある事です。
まず、看護師が居るか居ないかは大きなポイントです。
法律的には看護師の常駐が義務付けられていない施設でも、看護師がいる所があります。こういった施設では、入居者の体調に異変が生じた時の対応に安心感があります。
ただ、看護師とは名ばかりの実地経験の無い方や、とうに引退している高齢の方なども中にはいますので、居ればよいわけでもありません。
介護職員の質も問題です。
介護士の中には、テキパキと親身にケアを行っている方が居る一方で、利用者の日常の食事、排便の様子を全く把握して居ない方もいます。
スタッフのレベルは、外からは判断しにくいところですが、食事の前後の様子を見ていたら、何となくわかるかもしれません。食事時は忙しいので普段の対応が出やすいのです。また食事は介護の中でも大切な部分です。ちゃんと声かけしながら上手く食べさせているか、機械的に作業をこなすように食べさせているかを見て判断材料にしてください。
一般的には費用が高い施設は、やはりスタッフもしっかりしているところが多い印象です。
終末期を見据えた施設選択
比較的介護度が低い状態で施設に入ると、その後、徐々に介護度が上がってきた時に退去しなければならない施設もあります。先のことを見据えた施設探しも重要です。
人間最期は食べられなくなって、水分が飲めなくなって亡くなって行きます。
食事が取れなくなれば胃瘻を作り、水分がとれなければ点滴をして、最期は病院で亡くなるのも一つの選択肢です。
一方で、できれば施設で自然に最期を迎えさせるというのもまた別の選択肢です。
例えば親の認知症が進行し、寝たきりとなり、会話も全くできなくなった時などに、あなたはどちらを選択しますか?
もしも後者であるなら、その施設が看取りを行っているかどうかも大きなポイントです。
施設での看取りを積極的に行っているところもあれば、全くしていないところもあります。全体として見ると、看取りを行っている施設はまだまだ少数なのです。
看護、介護スタッフのレベルがある程度高く、在宅医と良好な関係を築いているところでしか、看取りは困難です。実際に看取りまで面倒をみてくれるのかを確認する事が大切です。
最後に
ご家族を施設に入れるのは苦渋の選択だと思います。少しでも環境のよい施設をと考えて、更に悩むと思います。
出来れば悔いの残らぬように納得のゆく施設を探したいですね。