麻薬、それは痛みからの解放への頼りになる味方です
『がん』末期の方で、自宅療養されているかたは、ほとんど医療用麻薬(以下麻薬)を使って痛みを抑えています。
本日は麻薬のお話しです。
麻薬の基本的な考え方
【麻薬】というものは、痛みを極力抑えることを目標にしていますので、充分に効かせる必要があります。
つまり、ある程度我慢して少なめに使うのではなく、全く痛みを感じない所を目指して良いのです。
麻薬というと、人には罪悪感や嫌悪感があるので、どうしても「使うか否か。」また、「使っても最小限にしたい」と考えてしまうかもしれません。しかし、麻薬に対する依存は、適切に使用する限りは起こすものではありせんので、どうか安心して下さい。
定期的に飲む麻薬と臨時で飲む麻薬
【麻薬】は持続時間によって、2種類に分かれます。
定期的に飲む麻薬は『ベース』と呼ばれています。痛みがほとんど無くなる所まで徐々に増量して、ちょうど良い量を探します。『ベース』は作用時間が長くて、一定の鎮痛作用が持続するのが特徴です。通常朝夕12時間毎に内服します。
臨時で飲む麻薬は、一日の中で何回か痛みが強くなる時に、その都度飲む麻薬です。その性質から『レスキュー』と呼ばれます。『レスキュー』は飲みやすい粉薬や水薬になっていて、15分程度で効果が現れます。早く効いて、持続時間が短いのが特徴です。
この『ベース』と『レスキュー』を上手く使い分けて、痛みが全くない状態に近づけてゆくのです。
麻薬の使い方
基本は経口摂取
『ベース』『レスキュー』ともに、基本はまず口から飲んで貰います。経口摂取です。
経口以外の選択肢
口から飲めなくなった時、副作用が強い場合には『ベース』を貼り薬に変更します。
『レスキュー』には坐薬などがあります。
PCA
いよいよ最期が近づいた時には、麻薬の量も多くなり、調節が度々必要になってゆきます。
このような時には、【持続皮下注射(PCA)】を行います。
PCAとは Patient Controlled Analgesiaの略称で、【自己調節鎮痛法」】の意味です。通常は、麻薬の注射液を皮下からPCAポンプと呼ばれる機械を用いて投与します。(PCAポンプとは上の写真のものです)
【PCAポンプ】の最大の特徴は、患者が痛いと感じた時にレスキューのボタンを押すことで、痛みのコントロールが出来る点です。
まとめ
このように【麻薬】を色々と工夫して使うことで、最期の時まで痛みから解放される事が可能となります。