どうしても入院は嫌!でも痛い!


在宅患者さんの中には、どうしても病院受診を拒否される方がいます。
今まで何度か『心不全』の悪化があり、病院での精査を勧めますが、首を縦に振りません。

Arztmännchen 2

今日は、そんな患者さんのお話しです。

今までの状況

90代女性で、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」で独居です。ほぼ寝たきりでの方でヘルパーが昼間毎日入っています。
今までは月2回の訪問診療でしたが、最近『心不全』の悪化があり、週1回に訪問頻度を上げていました。
性格は、兎に角頑固です。一旦「嫌」と言ったら、梃子でも動きません。

往診依頼

ある日の夕方、「突然、右腹を痛がっている」と、クリニックにケアマネージャーから連絡が入りました。その時、その近くの地域を回っていた私が急遽、往診に伺うことになりました。
訪問すると、会話は出来るものの、顔はとても苦しそうです。
血圧や体温の問題は無く、胸の音も良好です。しかし、お腹は軟らかいものの、右上を押さえると痛がります。
胆嚢に石が詰まる『胆石』発作が疑われます。

病院受診のすすめ

『胆石』発作は痛みが強くて、嘔吐することも良くあります。このまま夜間一人にするわけにはゆきません。どうしても入院する必要があります。
病院受診を勧めますが、案の定「病院はイヤ」と言うものの、よほど痛みが強かったのでしょうか、いつもほど強固な感じがありません。
「これからも更に痛みが続くかも知れないし、食事も摂れないかも知れません。病院に行って痛みが取れたら、直ぐに帰ってきましょう。」と説得すると、しぶしぶながらも聞き入れてくれました。

それではと、直ぐに救急病院へ連絡し、紹介状を作成Faxして、救急車の手配をしました。
市内に住むご家族にも、救急搬送する事を電話連絡して、承諾を得ました。
ケアマネージャーが救急車に同乗して、病院に向かいました。

家か病院か

在宅での治療を希望される方が、急変した場合に、家でこのまま出来ることをして様子を見るのか、病院受診をするのか。これを判断するのは、とても難しいことです。

本人の状態や、介護者の有無、休日夜間などの時間帯、経済的な事情など、色々と考えなければならないからです。

本人・家族と相談しながら治療方針を決定することが基本です。しかし、今回のケースのように、今後悪化が予測されるような緊急時には、「本人がイヤといっても強引に説得する」必要があります。

患者さんの意志と病状を、秤に掛ける事が肝要と考えます

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