家で出来る医療


在宅医療はこの10年間で大きく進歩しました。以前は、病院でしか検査、治療できなかったものが、家でも可能になってきています。

Young woman doctor anesthesiologist dressed in green gown, puts the dropper in hospital room

今日は、家で出来る医療処置、治療についてのお話しです。

病院と在宅医療の違い

病院と、自宅で「訪問診療」を受ける場合の大きな違いの一つに、医療行為があります。
家ではどうしても出来ることに限りがあります。
しかし、全く何も出来ないかと言うと、そうでもありません。

家で出来ること出来ないこと

家でも出来る医療行為としては、在宅医の得意分野によってばらつきがありますが、おおむね次のものがあります。

  1. 注射
    点滴注射や静脈注射、中心静脈カテーテルが入っている場合の注射
  2. 各種カテーテルの交換
    胃ろう、気管チューブ、尿道カテーテルの交換(ただし胃ろうのタイプによっては困難)、人工肛門の管理
  3. 検査
    血液、尿検査(結果が出るのは1日後)
    心電図
    エコー検査(最近開発された小型エコー)
    気管支鏡や胃カメラも行っているところも中にはあります。
  4. 簡単な外科処置
    比較的浅い切り傷を縫ったり、褥瘡で壊死になっているところを取り除くなどの処置
    電気メスを使って処置をするところもあります。
  5. 人工呼吸器管理・酸素の使用
    人工呼吸器は病院と同じ性能で小型化したものが出来ています。
    酸素は酸素業者が24時間対応していて、必要な時に数時間あれば機械を家に設置して酸素を使うことが可能となります。

これら以外の大がかりな器具や装置を使用する検査、例えばレントゲン、CT、MRIなどの画像検査などは病院でしかできません。

具体的な治療の例

肺炎と尿路感染症

在宅の高齢者でよく目にする病気は、『肺炎』と『尿路感染症』です。

どちらの治療にも注射や内服による【抗生剤】を使用し、『肺炎』では更に酸素を使うこともあります。
これらの病気で全身状態が比較的安定している場合には、在宅での治療が可能です。

また、看取り前提の場合には自宅で出来る範囲内の治療を行い、回復しなければそのまま看取りとなることもあります。

神経難病

『筋萎縮性側索硬化症(ALS)』などの神経難病の方で人工呼吸器が必要な方でも、自宅での療養を選ぶ方が多くいます。

末期癌

【抗がん剤】や【放射線】などの治療は行うことが出来ませんが、【麻薬】を使用して痛みを抑える疼痛コントロールは可能です。小型ポンプを使って、少量ずつ24時間持続注射も可能です。

入院している方が「家に帰りたい」と思っても帰れない理由の一つとして、急変時の対応に不安があるということが挙げられます。

病院と同じことは出来ませんが、ある程度のことは家でも出来ることを知って貰えたら、自宅療養の道も広がると思います。

在宅医療でも意外と出来ることが多いのです。

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