障害を抱えながらの独居生活


私たちが訪問診療に伺っている先は、一番多い高齢者が8割位で、小児が1割、神経難病や頸椎損傷などの障害を持った方が残りの1割位です。
今日は、その中でも『神経難病』を抱えながら独居生活を送っている方についてのお話しです。

Man sleeping on a bench on the porch outside his home , newspaper on face

この方は30代男性で、高校生の時に神経難病を発症して、何度か手術も受けましたが、徐々に半身麻痺となり両目を失明、上肢の感覚も麻痺しています。
自分一人では起きる事も出来ず、生活全般に対して介助が必要です。
排尿困難があり、尿道カテーテルが入っています。

そのような状態ではありますが、独居生活を送られています。また、昼間にはヘルパーと一緒に外出して、買い物も行います。

毎日、朝から夕方までヘルパーが入り、食事、その他の介助を行っています。
しかし、夜はヘルパーは入らずに、ただ一人です。
夜中に何か急変が起こっても、電話も出来なければ誰も気付きません。朝になって既に手遅れになっている可能性はあるものの、それを充分に理解された上で、一人暮らしを選択されているのです。

訪問診療は、月2回のペースで伺っています。
排便コントロールや様子観察の為に、週3回の訪問看護も入っています。幸い状態は今のところ落ち着いています。

この方は、会話するとごく普通で、話していると、失明していることをこちらが忘れるくらいです。
記憶力も、とても良くて、どこに何があるかを正確に覚えています。訪問診療の際には、薬の場所や種類、残量など、ヘルパーに口頭で指示を出す手際の良さは、まるで見えているかのようです。
ただ、病気自体は、ゆっくりとではありますが進行性でありますので、いつまで今の生活が維持出来るのかは分かりません。

しかし、この方のすごいところは、色々と辛い思いをされてきたことでしょうが、それを他人に感じさせ無いことです。これからの生活に対しても、全く悲観的では無いのです。
訪問診療の際には、好きな音楽の話などをしながら診察を行いますが、毎回こちらが元気を戴いています。

人生いろいろですね

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