『うつ病』と治療について


以前うつ病の症状についてはお話しことがあります。今日は、『うつ病』の治療についてお話します。

iStock_000000619065Large

『うつ病』を専門に診るのは精神科になりますが、患者さんがいきなり精神科に受診する事は余りありません。不眠や食欲減退などの体調不良を理由に、内科を受診する事が多いと思います。
『うつ病』が疑われた場合には『うつ病』以外の病気が隠れていないか、検査などを行ってチェックします。そして、他の病気の可能性が低い場合には『うつ病』の診断に至ります。

診断基準
『うつ病』と診断するには、まず次の2つのうちのどちらかが2週間以上続いている事です。

1. 気分が落ち込む
2. 今まで好きだった事に急に興味がなくなり、何事にもやる気が出ない
更に、以下の症状のうちの、3,4個以上に該当すると『うつ病』と診断されます。(DSMーⅣ)
• 食欲がない、体重減少がある
• 不眠
• 動作が鈍くなり、声が小さくなる、うまく話せない
• 疲れやすい
• 自分は価値がない、ダメな人間だと考える
• 集中力がない
• 死にたいと思う、或いは自殺を計画する

『うつ病』の治療

『うつ病』の治療には【精神療法】【薬物療法】【リハビリテーション】そして【再発予防】の4つの基本要素があるといわれています。そのうちの、主な治療法と言われている精神療法と薬物療法についてお話しします。

【精神療法】

【精神療法】とは、『ことば』での治療になります。『うつ病』の方は考え方に偏りが出ます。まずは、良く患者の訴えを聞いて批判なく受け止める事が必要です。そして、信頼関係が出来たところで、患者が陥りやすい思考は修正が可能であることを説明して、対応法を話し合ってゆきます。専門的な治療は精神科ですが、内科外来においても、毎回少しずつ行ってゆく場合があります。

【薬物療法】

【薬物治療】は『うつ病』治療の重要な柱です。ただ、抗うつ薬を単に処方するだけでは上手くゆきません。『うつ病』という病気の説明を行い、薬物治療によって症状が良くなることを伝える必要があります。
抗うつ薬は最近はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)をはじめ、多種の薬が出ていて、症状や患者背景によって選択の幅が広がっています。

抗うつ薬の注意点

抗うつ薬の注意点は、効果が出るまでに2週間程度、時間がかかることです。この間は抗うつ薬に加えて、抗不安薬や睡眠薬を併用して、症状を抑えてゆくことが良く行われます。

いつまで飲み続けるか

薬が効いて症状が軽快、或いは消失したとしても、すぐに中止してしまうと再発する可能性が非常に高くなります。半年から1年程度は継続して、抗うつ薬を飲み続けることが必要になります。

勝手に中断しない

また、抗うつ薬は突然中断すると断薬症候群といって頭痛、胃腸障害、睡眠障害、不安、焦燥などの症状が出ることがありますので、減薬する場合は少しずつ減らして行くことになります。個人の判断で中断しないことが大切です。

うつの治療には時間がかかります

Follow me!