『うつ病』は死ぬ病気です
『うつ病』は生涯で10人に1人はかかる、と言われているほど一般的な病気です。
以前は、「なまけている」「やるきがない」など、本人の意欲の問題と捉えられ、批判される事も多かったようですが、最近は啓発が進み、病気としての認識が広まっています。職場での休職なども取りやすくなっています。
今日は『うつ病』のお話です。
『うつ病』はわかりにくい?
身近な人が『うつ病』になっていると、それは深刻な病気ですが、そうでない人にとっては何が問題なのか、想像がつきにくい病気です。
肺炎などの病気とか骨折などの怪我は、見た目にも、当事者の辛さやしんどさが理解されやすいですが、うつ病の場合は外見上は判断できないので、辛さが理解されにくいのです。
『うつ病』の原因
「遺伝的要因やストレスの関連が原因である」と言われています。
脳内のセロトニンという物質が影響していると考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。
うつの症状
いろいろな症状が出ますが、行動面では次のようなものがあります。
- 夜間は色々な事を考えて寝られず、朝になると起き上がれず、行動を起こす事が辛くなる。
- 食欲は低下し、美味しいと感じられない。食欲以外にも性欲も無くなる。
- 毎日の日課であった新聞を読むなどが億劫になり、何かをしようという意欲が無くなる。
不眠、食欲低下は頻度の高いものです。
心理面では、全ての悪い事の原因が自分のせいだと考えてしまう被害妄想や、自分など居なくなってしまえばいいと思ってしまう自殺願望などもみられます。
身体面では、頭痛や吐き気、呼吸困難感などの症状が出現します。
『うつ病』の診断
『うつ病』と診断するには、まず次の2つのどちらかが2週間以上続いている事です。
- 気分が落ち込む
- 今まで好きだった事に急に興味がなくなり、何事にもやる気が出ない
更に、以下の症状のうちの、3,4個以上に該当すると『うつ病』と診断されます。(DSMーⅣ)
- 食欲がない、体重減少がある
- 不眠
- 動作が鈍くなり、声が小さくなる、うまく話せない
- 疲れやすい
- 自分は価値がない、ダメな人間だと考える
- 集中力がない
- 死にたいと思う、或いは自殺を計画する
『うつ病』の注意点
『うつ病』で注意すべき点は死ぬ病気であることです。
なぜなら、『うつ病』が自殺の大きな要因だからです。自殺者の中に占める『うつ病』の割合は高く、50%を超えると言われています。
日本の自殺件数は諸外国と比べて高く、最近でこそやや減少していますが、毎年2万5千人もの人が亡くなっています。
死因の年代別では、自殺は20代から30代までではトップ、40代は2位です。
したがって、『うつ病』が疑われた場合には自殺させないような注意が必要です。
家族や身近な人に、『うつ病』が疑われる場合には、休息をとる事と早期に医療機関に受診を勧める事が大切です。
本人は理路整然と考える事が困難で、受診する決断もつかず、仕事を休む事に抵抗を示す場合があります。
「今のしんどさは、病気である可能性があるので医者に診てもらいましょう」と説得して受診させる事が必要です。
『うつ病』の治療などについては、また別の機会にお話しします。