『注意一秒 怪我一生』


今日ラジオを聞いていると、「子供が羽目を外した行動をする原因の一つには、友達をびっくりさせてやろうという虚栄心があるようだ」という話がありました。「確かにそれはあるな」と思いながら聞いていましたが、ふと「子供に限らず、大人でも同じだなぁ」と思い当たる事がありました。

今日は、そんな大人のお話です。

私が訪問診療に伺っている或る施設に、とある二人の男性患者がいます。共に『頸髄損傷(けいずいそんしょう)』を起こして、車椅子生活をされています。

『頸髄損傷』とは

脳から出た神経は、首・背・腰の骨(脊椎)の中を通って、体全体に行き渡っています。脊椎の中の神経の束を「脊髄」と言います。脊髄の、首の部分を「頸髄」と言います。
この「頸髄」を、交通事故・スポーツ事故・高所からの転落等を起こして、首の骨(頸椎)の脱臼・骨折などで損傷してしまうと、手足を動かしたり痛みや温度等を感じたりすることが出来なくなってしまいます。これを『頸髄損傷』と言います。
先日行われた「パラリンピック」に出場している車椅子選手の中にも『頸髄損傷』の方が多くいました。

症状

頸髄の、どの部分が障害されるかによって麻痺の部分が変化しますので、症状は人によって様々です。

運動障害

手足や体幹の麻痺があります。殆どの方は、胸から下の部分が動かず、車椅子や寝たきりの生活となっているようです。

感覚障害

胸から下の部分の痛みや温度、触っている感覚が麻痺します。

自律神経障害

温度調節が上手く出来なくなったり、体を起こすと血圧が下がるなどの症状があります。

膀胱直腸障害障害

尿意、便意が無くなり、自力で排尿・排便が出来なくなります。

施設の二人

一人は脚立に乗って電球を修理中に落下、もう一人は同窓会の最中に柿の木から落ちて『頸髄損傷』となりました。
お二人とも社会的地位が高い60代の方でした。自分で電球を替える必要は無いし、柿の木に登る必要もありませんでした。やはり、ひとに「どうだ、俺はまだこんなことも出来るんだぞ」というような虚栄心があったのかも知れません。
一瞬の油断によって起こる事故ですが、その代償は大きなものになります。生活が180度変わりってしまいます。

これから、ハロウィンや忘年会のシーズンがやって来ます。大人でも楽しくて、童心に帰ってうっかりはしゃぎ過ぎてしまう事もあります。

アラフィフの皆さま、くれぐれも羽目を外し過ぎないようにして下さいね

 

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