『認知症』夫婦の生活


子どもが都会に行ってしまい、田舎で老夫婦が生活するパターンはよくある話です。
今日は、夫婦とも『認知症』の方のお話しです。

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老夫婦の状況

90歳前後の、老夫婦の2人暮らしです。
夫は『認知症』が発症して10年以上が経過しています。足元はおぼつかなく、ほとんどベッドで過ごしています。それまで、ヘルパーの介助を受けて2カ所の大病院に通院していましたが、通院困難となったために、私の勤めるクリニックでの訪問診療が開始となりました。

夫の状態

『認知症』は、かなり進行しています。今の時間や季節などが分からない『見当識障害』に加えて、少し前のことも全く覚えていない『短期記憶障害』もあります。お子さんは、長女と長男がいますが、子供を持って居たことも覚えていません。
その場での会話は、普通に成立します。
幸いにも興奮や暴力、介護の抵抗などの周辺症状はみられません。穏やかに、終始ニコニコして過ごされています。
体の病気は『糖尿病』などいくつかありますが、それほど深刻なものはありません。

妻の状態

妻は、訪問診療の対象ではありません。足腰がしっかりしているので、まだ通院可能です。
ただ、ケアーマネージャーからの報告では、『認知症』の程度は、夫と変わらないようです。

遠方に住む子ども

長女、長男と2人いますが、いずれも都会で生活しており、数年に1度帰って来るかどうかです。基本的に、介護には関与できません。

サービス

夫婦どちらにも、介護サービスが必要です。
食事は朝はパン、昼と夜は宅配弁当を利用しています。1日2回のヘルパーが入り、週2回訪問看護も入っています。

ケアマネジャーの存在

深刻な病気が無いので、医療が関われることは少なく、介護の問題を多く抱えている老夫婦です。
担当のケアマネージャーは、既に10年以上もこの老夫婦と関わり続けています。遠方のお子さんとも連絡を取りながら、生活全般の問題に親身になって対処しています。ある意味、家族同然に意志決定を行います。

自分の親でもない、他人の生活全般の困り事を引き受けて、必要不可欠なサービスを提供しているケアマネージャーは、老夫婦の生活維持には欠かせない存在です。

近いうちには、妻の訪問診療も必要になって来るでしょう。そして、やがてはお二人とも看取りになる事と思いますが、その時に近くにいるのは子ども達ではなく、長年関わって来たケアマネージャーではないかと思います。

『認知症』老夫婦の生活はケアマネにかかってます

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