アルコール!あなたは大丈夫?
アルコールは『百薬の長』といわれて健康に良いと思われています。
しかし、それは適度に飲酒する場合であって、飲み過ぎると体に害になってしまいます。
アルコールのことで悩んでいる方、或いはその家族は多いといいます。
あなたは大丈夫ですか?
アルコールの適量
糖尿病の食事カロリー、高血圧の食塩などそれぞれの疾患には特有の物差しがあります。
ではアルコールの物差しはどれ位でしょうか?
栄養指導における『カロリー』に相当するのが『ドリンク』という概念です。酒類によってアルコール度数が異なるため、単純に飲酒量だけでアルコールの影響を比較することができません。そこで、飲酒量を純アルコールに換算してわかりやすく表示する方法が世界的に用いられています。
日本では純アルコール10gが『1ドリンク』です。
厚生労働省は『健康日本21』の中で、日本人男性の「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度を提言しています。
つまり2ドリンクが適切な量というわけです。
では2ドリンクは具体的にはどれくらいの量なのでしょう。
ビール500ml、日本酒1合、焼酎(25%)0.5合、ワイングラス2杯、ウイスキーダブル1杯がおおよその目安です。
お酒を飲むと顔がすぐに赤くなる、いわゆる「弱い」人や高齢者、女性はこの半分の、1ドリンクが適度とされています。
アルコールによる影響
この適度な量よりも多く、毎日習慣的に飲酒をする人や、頻度は少なくても大量に飲酒する人には、全身状態や精神状態に影響が出ると言われています。
体に直接影響をうける所では、肝臓や膵臓、心臓など全身におよびます。
肝臓では、脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変などで、膵臓では急性膵炎をおこします。
検査数値ではγ−GTP、尿酸、ビリルビン、アルブミン、血球減少(大球性貧血)が異常となり、精査をすすめられたりします。
睡眠障害や血圧上昇の原因ともなります。
アルコール量が徐々に増えて、弊害があると分かっていても飲んでしまう、飲まずにはいられない、飲み始めたら止まらないというようになるとアルコール依存症と呼ばれる状態になります。
アルコール依存症の診断
次の6項目のうち3つ以上に該当するとアルコール依存症の診断となります。(ICD−10)
- 脅迫的飲酒:飲まずにはいられないという抑えようのない飲酒欲求がある。
- 飲酒コントロールの障害:飲みはじめると止まらない。自分の意思で飲酒がコントロールできなくなる。
- 離脱症状:長期にわたって多量に飲酒した後に、飲酒を減量・中断または飲酒間隔を空けた際に認められる。飲酒をやめてから1〜2日以内に手先の震え、発汗、吐き気、嘔吐、頻脈、血圧上昇などの自律神経症状と、不眠、不安、怒りっぽいなどの精神症状が出現する。
- 耐性:徐々に同じ量では酔えなくなり、濃度の高いアルコールを好んだり、飲酒量が増えたりする。
- 趣味や人間関係などの大切なことよりアルコールを優先する。
- あきらかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒する。
アルコール依存症の症状
アルコール依存症になると、以下の症状が出ます。こうなると本人や家族の力で何とか出来る状態では無くなります。早めの専門医受診が不可欠です。
- 睡眠障害:レム睡眠の時間が短縮し、途中で目覚める、寝た気がしない、朝早くに目覚めるなど睡眠の質を悪化させる。
- 健忘:アルコールを大量に飲んだ急性中毒の場合は記憶が飛ぶことがあるが、長期間にわたり飲酒を継続するとお酒を飲んでいない時にも記憶が無くなるようになる。
- 抑うつ状態:うつ病と診断されることもある。アルコール依存症にうつ病が合併することが多い。
- 自殺:飲酒量に比例して自殺する危険が高まる。
アルコール問題の相談窓口
アルコール問題で困った時にはどこに受診、相談すれば良いのでしょうか?
専門治療としてはアルコールを専門とする精神科になります。
ただ、いきなり精神科は敷居が高いと感じる方が多いと思います。まずはかかりつけ医に相談するのが良いと思います。