体調が良くなったら


ある行動をしたい思っても、条件が整ったらやろうと先延ばしにすることは良くありますね。
しかし、自分から具体的に小さいことからでも行動しないことには、自然に条件が整うことはなくて、結局行動しないことの言い訳に「・・・だったら」が使われるように思います。
例えば「海外旅行には、お金が貯まったら行きたい」です。

目的を達成する為には、準備が大切です。将来の大きな目標達成の為に、時間を区切って5年後、1年後、1か月後、今週、今日出来ることに分けて実行してゆくことが必要だと思います。
大人の場合、誰かがお小遣いをくれることは期待できません。海外旅行に行きたいと思えば、今日から少しずつ使うお金を節約するか、収入を増やす工夫をしてお金を貯める行動をおこすことです。通常、個人の目的達成の為に、他の人が条件を整えてくれることはありません。あくまでも自分で努力をすることが求められます。

Elderly man wearing heavy coat and holding a leather suitcase walking down a country road

今日は「体調が良くなったら帰る」と言う患者さんのお話です。

背景

60代女性です。2年前に『がん』であることが分かり入退院を何度も繰り返し、抗がん剤や放射線治療を受けてきました。今回の入院では、「もうこれ以上の治療は出来ない」と病院の主治医から言われて、自宅で緩和ケアを行うことになりました。
入院中には24時間点滴をしていて食事がほとんど摂れず、寝てばかりで足腰も弱っていました。それで、直ぐには自宅に戻ることが困難である為に、一旦当院に転院して自宅に帰る準備を行うことになりました。
家族は、施設入所中の夫と長女さんです。長女さんは働いているので、自宅に戻れば昼間は一人になります。

本人の思い

「家には帰りたい。でも、娘に迷惑をかけるので、食事がとれて元気になって、自分で歩けるようになったら帰ります。」と本人は言います。
では、この場合についてですが、「それなら、今日から頑張って一口からでも食べましょう。リハビリも頑張って、歩けるようになりましょうね。」とは、なりません。
それは、「努力しても出来ない」からです。

周りで行う条件整備

それでは、希望は叶えられないのかというと、そうではありません。この場合は、周りが条件を整えたら良いのです。
家に帰って、昼間一人で居るのが不安があれば、毎日訪問診療や訪問看護、訪問リハビリ、ヘルパーなど、誰かが訪問するようにすれば良いし、「体調が悪くなったらどうしよう」と心配であれば、医者や看護師が、24時間いつでも駆けつけるようにすれば良いのです。

『がん』の方は、残された時間は短いです。そして、今後も悪化することが分かっていますので、常に「今が、一番状態が良い時」です。
したがって、やりたいことは「体調が良くなったら」では無く、「今」やらなければチャンスは二度と巡って来ないのです。

本人の希望を叶える為の、条件整備をすることが在宅多職種チームの仕事です

Follow me!


前の記事

備えあれば…

次の記事

予定が白紙