高齢者の温度感覚について
患者さんのお家に診療に伺うと、いまだにを真冬の布団を使ってなおかつストーブがついていることがあります。暑くないですかと尋ねても、「朝はまだ冷えますし、それほど暑くありません」という返事がかえります。
高齢者の温度感覚
高齢になると温度感覚が変化します。寒さに対しては敏感になる一方、暑さに関しては鈍感になるようです。原因としては、新陳代謝が減少し、熱量が余り出ないことも考えられます。また、抹消の血液循環が悪くなることで、手足の冷えが起こりやすいこともあります。
夏・冬の状態
真冬の間は、布団を何枚もかけたり電気毛布を使ったり腹巻や靴下を身につけて寝ていても寒くて寝られないといった状態になります。電気毛布や電気あんかを不適切に使用することによって、低温やけどをおこしやすくなります。また、火災についても充分な注意が必要です。
一方これからの季節、気温が高くなっていくと、汗を沢山かいても本人の自覚がありませんので、脱水症になりやすく、また熱中症になることが予想されます。
熱中症は真夏に起きると思いがちですが、梅雨時は湿度が上昇して発汗しにくく、汗をかいても蒸発しにくい状態となります。このため高齢者の方は熱中症を起こしやすくなるのです。
予防・安全対策
冬の注意点は、暖房器具を適切に使用すること。電気あんかなどは地肌に直接触れないようにすることが必要です。また、ストーブに近づき過ぎて火災になったり、やかんのお湯をかぶって火傷をすることがないように注意も必要です。
熱中症に対する予防は、室内環境を適切に保つことですが、高齢者の方だけの世帯では、温度感覚が鈍っているため困難なことがあります。したがって、水分を多めに摂ることが重要です。
しかし、中には心臓の病気を抱えていて、水分を制限されている方もいます。そうなると、ちょうど良いバランスを保つことが難しい場合もあります。まわりの方が出来るだけ室内環境や、飲水量に気配りをすることが必要です。
室内環境では温度だけではなく湿度にも気を配るようにしてください。
飲水量については具体的にどれだけの量を飲んでいるのかを、例えばペットボトルでどれ位など具体的に観察することが大切なのです。手帳に記録しておいて、医療や介護の人に相談すると更に安心です。
高齢者は温度感覚が異なることを覚えておいてくださいね。