多職種での検討会の有用性
私の勤務しているクリニックでは、問題のある事例について、医師、看護師、ケアマネージャー、ヘルパー、リハビリスタッフなど多職種で検討する機会を設けています。
医療だけでは解決できない問題も多く、介護やその他、関わりのある人が知恵を出し合います。
今日は、ある事例について紹介します。
患者情報
病名および現状
60代男性
『糖尿病』の合併症による『慢性腎不全』、『糖尿病網膜症』、下肢壊死により左足切断し義足着用中の方です。『腎不全』の為に「腹膜透析」を行なっています。
現在、『腎不全』が更に進行し入院中。入院中に「人工透析」に移行する予定となっています。
生活
生活は独居で、エレベーターのあるアパートの5階で一人暮らし。
食事、排泄、入浴は自立。
歩行は、屋内は自立。屋外は、ふらつきがある為に「杖突き歩行」。
調理は自分でも行うが、ヘルパーが週3回入っている。
買い物は自転車で行く。自転車で転倒すると、義足である為に立ち上がれず、周囲の人に助けられることがしばしばある。
金銭管理は自分で行なっている。収入は「障害年金」のみ。支出は食材を大量に買い込むなどあり、収支のコントロール出来ていない。時に、介護サービス費用の滞りもある。
タバコは以前は1日4箱吸っていたが、最近は1日1〜2箱。
『糖尿病』『腎不全』以外にも、整形外科的な疾患を抱えていて、両手とも細かい動作が出来ない。
家族関係
奥さんとは足切断時に離婚。一人息子は、最近隣の市の小学校の教員になったところ。息子のことは溺愛している。
妹は以前は入院の都度、本人の面倒を良く見ていた。義弟とは昔からの幼馴染で交流があったが、 1年前に本人と義弟が仲違いして以降は、妹夫婦とは疎遠となっている。
性格・職歴など
仕事は長距離トラック運転手、船員などをしていた。
性格はおとなしく人懐こい。本を良く読んでいる。
「死にたい」が口癖であるが、本当に死にたいとは思っていない様子。
多職種検討会
この方が、今後退院して週3回の「人工透析」を行うようになった時に、どのようなサポートが出来るのか「多職種検討会」を行ないました。
- 家族をどうやって巻き込んでゆくか
- 行政との繋がりをどの様に持ってゆくか
- 自転車以外の移動手段はないか
など多方面から検討が行われ、それぞれに「アクションプラン」を作成して終了しました。
多職種が色々な視点から意見を出し合うことで、「ブレイクスルー」となる解決案が出ることもあります。
また、顔の見える「地域ネットワーク」構築にもつながります。
行き詰まりを感じた時、「多職種での検討会」は有効です