「まだは、もう」「もうは、まだ」


「まだは、もう」「もうは、まだ」
これは、投資の時に良く出される言葉です。「まだ」相場は上がると思っている時には「もう」下がり時、「もう」下げ止まると思っても「まだ」下がるという意味で使われます。

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在宅診療でも、同様なことをよく経験します。

まだはもう

在宅看取り前提で家に帰り、訪問診療が開始された時に、「まだ」大丈夫だろうとご家族が思われていても、「もう」死がそこまで迫っていることは良くあります。病院の主治医から説明を受けていても、やはり家族は「何とか助かってほしい、少しでも長く生きて欲しい」という気持ちがありますので、どうしても希望的観測になってしまうことには、私も十分理解できます。

しかし、「まだ」にこだわっていると、大切な「今」を有効に使えないことがあるのです。

いざ亡くなる時になって、「あんなこともしてあげればよかった」と後悔がないように、残された「今」を大切に過ごして貰いたいと、私たち在宅に関わる者は常に思っています。

もうはまだ

90代女性の方は、『認知症』が進行し寝たきりで言葉も無くなりました。4人姉妹の長女さんと次女さんが交代で介護しています。これまで『インフルエンザ』や『肺炎』で状態が悪化して、何度も「もう」だめでしょうとお伝えしましたが、その都度復活します。

4人姉妹も慣れたもので、「母は「まだ」死なないで復活します。私たちの方が先に逝ってしまうかも知れません」と冗談を言っています。

これは、うれしい誤算です。

別の高齢の患者さん例では、口から食べ物が摂れなくなって「もう」いよいよ看取り段階ですと家族にお伝えしてから、思った以上に長く生きながらえて「まだ」ですかと、疲弊した家族に言われることも時としてありました。

これは少し寂しい気がしますが、介護をしている家族の方の体調など、皆さんそれぞれに事情があるのでしょう。

人の「生き死に」のタイミングをはかるのは難しいですね

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