僻地の介護
数ヶ月毎に、僻地の診療所で1日勤務することがあります。
今日は、そこでの気づきについてお話しします。
僻地の訪問診療先
在宅の様相には色々なものがあります。
- 『脳梗塞』再発を繰り返す50代息子を介護する80代の母
- 80代『認知症』寝たきりの母を看病する60代の娘
- 『脳出血』後遺症、『慢性腎不全』、『慢性心房細動』、『慢性心不全』の80代男性を介護する80代妻
これらは、ある日の僻地の診療所の訪問診療先です。
二人世帯
田舎では、「家族の力が強くて、お互いに協力して介護をするのでは」と考えがちですが、現実は異なっているように感じます。
過疎化が進む集落で生活する高齢者は、自身が介護を受けるか、あるいは誰かを介護していることが多く、介護者1人と要介護者1人の「二人世帯」が多い印象です。
ご近所の力
近所の知り合いが外来の診療に付き添ったり、送り迎えをしたりといった、田舎ならではの光景が見られます。この点は都会にはない、ご近所付き合いの良さがあります。
中には、近くにお子さんがいても介護には全く無関心で、隣の人が何かと面倒を見ていることもあり、親族よりもむしろご近所の力が頼りになることもあるようです。
危ういバランスでの介護
頼りになる若い人は居なくて、介護余力は少ない状況です。ご近所の力を借りながら、何とか介護のバランスが取れている状況です。
一旦、介護者・要介護者のどちらかが体調悪化などでバランスを崩してしまうと、途端に自宅での療養が困難となります。
看取りの場所
「自宅看取り」を行うには、介護者である家族の心理的、経済的余裕がある程度は必要になってきます。一人介護ではどちらの余裕もなく、「病院あるいは施設看取り」となります。
先日、在宅看取りの県別データが出ていました。驚きかもしれませんが、東京をはじめとする「都会は自宅看取りが高く」て「田舎は低い」と発表されています。
この原因には、「在宅医の偏在」「医療機関へのアクセス」などもあると思いますが、「介護者の余裕の差」もあるのではと思います。
田舎ならではの看取り
田舎では、自宅看取りが全くないかというと、そうではありません。数は少ないですが、大勢の家族・知人に見守れらながら、自宅で最期を迎える方もいます。これは、おそらく都会ではまずありえないような素晴らしい看取りではないかと思います。
僻地での医療・介護の問題は、根が深いと感じます