膝が腫れて熱があります!『偽痛風』かも知れません。
高齢者が突然「片方の膝が腫れた」と、往診に呼ばれることが良くあります。
膝が腫れていて、触ると痛がる。これまで歩いていた人が、急に動かなくなった。
38度位の発熱もあります。
食欲は普段通りあります。咳や鼻などの上気道症状はありません。
腹痛もありません。
同居家族や施設内での発熱などの流行もありません。
排尿も順調で特に臭いもありません。
こんな説明を往診先で伺いました。さて、何を考えるでしょうか?
今日は『偽痛風』のお話しです。
偽痛風とは
以前『痛風』のお話しをしました。『痛風』に似ている事から名前が付いている『偽痛風』は、原因も症状も良く似ています。
高齢者に多い病気です。
症状
『痛風』は尿酸結晶が関節内で析出しておこるのでした。
『偽痛風』はピロリン酸カルシウム結晶が関節内に析出ことで起こります。
起こる場所は、『痛風』が足の親指の付け根など足先に多いのに対して、『偽痛風』では膝などの大きい関節に起こります。
38度以上の高熱がでたり、患部が腫れて、熱を持ち、痛みがある点は良く似ています。
診断
関節に溜まった液を抜いて顕微鏡で調べて診断します。
ピロリン酸カルシウム結晶が見えたら『偽痛風』です。
しかし、在宅では検査が直ぐに出来ない事が多いので、その場合には、関節液の色調、性状で判断することもあります。
治療
痛み止めを内服する、冷やす、安静にするなどの対症療法で、通常2,3日から数週間で痛みは消失します。痛みが強い場合には、ステロイドを内服したり、関節内に注射することもあります。
注意点
『偽痛風』とよく似た症状を呈する病気に『化膿性関節炎』があります。
これは、関節の中に細菌が入り繁殖することで起こります。
こちらは、関節が破壊され、場合によっては命取りとなる病気です。
区別は関節液を調べるしかありません。