外来はアート?


皆さんは体調を崩したり、身体に異常がある時には病院や診療所の外来を受診しますね。外来では医者が皆さんの訴えを聞いて、病状を把握し、身体診察や検査によって診断し、薬を処方します。かかる医者によって、安心できたり、ひどく不快な思いをすることがあるのではないでしょうか。
皆さんは『かかりつけ医』の外来に満足していますか?

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今日は、外来のお話しです。

外来教育

医師は大学医学部で6年間教育を受けた後、病院で色々な経験を積んで、自分の専門科に必要な知識や技術を習得して一人前になってゆきます。しかし、外来のトレーニングを受けることは、ほとんどありません。
初めは先輩医師の外来を見学し、見よう見まねで色々な努力、工夫をしながら外来技術を向上させてゆき、次第に独自のスタイルを形成するようになります。個人のセンスによるところが大きいのです。

これは、営業の仕事を行っている人が商品の知識は与えられても、相手の嗜好・ニーズをどうつかむか、話し方はどうすれば良いかなどの方法については個人的にトレーニングされないのと同じだと思います。

外来と入院の違い

外来では一旦帰宅してしまえば、次の来院まで何も出来ません。
大げさに言えば一期一会です。ここが入院との大きな違いです。

入院であれば、仮にはじめの段階で情報不足や検査計画に洩れがあったとしても、複数の医師や看護師が関わることになりますので追加情報が得やすく、追加検査がいつでも可能な時間的な余裕があります。

外来はアート

外来は、患者さんの訴えを聞き、診察検査診断を的確に行い、分かりやすく説明し、薬剤などの治療方針を決定し、次回の外来につなげます。
患者は満足しなければ、もう来ないかも知れません。
短時間の診療で患者の満足度の高い外来を行うことは、実は非常に困難なことです。

外来はアート(芸術)である」と言われています。
達人と呼ばれる医者の外来は見ていて隙がなく、患者と一緒にまるでセッションを行っているかのように言葉を交わしながら、的確な診断と方針決定がおこなわれます。その診察に、患者は納得して笑顔で、診察室を後にします。
ここでは、病気に対する幅広い知識や技術に加えて、患者との【コミュニケーション能力】が問われることになります。

アート(芸術)であれば、個人の能力の問題となりそうですが、【トレーニングを行う】事によって、外来技術は向上することが分かっています。
現在は、外来トレーニングを受けた医者は殆どいませんが、一部のプライマリケアの専門医では、既に外来教育が行われています。

今後、トレーニングを受けた医者が徐々に増えてゆくことが期待されています。

皆さんは『かかりつけ医』の外来に満足ですか?

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