100歳の歌姫
100歳になる女性がいます。
この方は現在、「介護付き有料老人ホーム」に入居されています。
日中は、殆どリクライニング付き車椅子に座ったまま過ごします。
足腰は弱っているものの、頭はしっかりしています。目も耳も悪くありません。
訪問に伺うと、毎回「大正5年生まれ、もうすぐ100歳です。」と朗らかに笑います。
今日は、そんな素敵な女性のお話です。
施設の出戻り
この方は、長年、今現在居る施設に入居していましたが、昨年は別の「特別養護老人ホーム」に移っていました。費用の点で、ご家族の負担が軽くなる為でした。
新しく入居した施設では、大好きな歌を歌うと「うるさい」と言われ叱られてしまって、黙っているしかありませんでした。その内に、だんだんと元気が無くなり、食事量も減ってゆきました。
見かねた家族が、「費用がかかってもいい」と数ヶ月後には、元の施設に戻したのでした。
現在の様子
今では、以前と同じように楽しそうに歌っています。傍らには、いつも歌詞の冊子を携えています。私は直接聴いた事はありませんが、歌を歌いながら、ピアノも弾かれるそうです。
女学校で習ったそうで、きっと若い頃はお嬢様だったのでしょう。
今日も診療の時に、
〽︎年の初めの試しとて〜♪と、「一月一日」を歌ってくれました。
食事は少ないながらもしっかり摂っています。
「100歳の次は110歳まで生きてくださいね」と言うと、「もう疲れました」と言いますが、満更でも無いご様子でした。
今年の敬老の日には、「100歳のお祝い」を、市から戴くそうです。
いろいろな高齢者
在宅診療では、沢山の高齢の方とお話しする機会がありますが、80歳位でもう、生きる希望を無くして「早く死にたい」と言う方も居れば、もっと年を重ねて居ても、毎日を楽しく過ごしている方まで居て、「色々だなぁ」と思う今日この頃です。