レビー小体型認知症について
認知症には色々な種類があります。
『アルツハイマー型』が最も多く、『脳血管障害型』、そして『レビー小体型』などがあります。それぞれに特徴がありますが、本日は最近在宅の患者でも遭遇することが多く、意外に多い『レビー小体型』についてお話しします。
レビー小体型認知症とは
従来パーキンソン病は認知機能は正常であると認識されていました。ところが、パーキンソン病の中に認知症を伴う人がいることが分かってきました。その人の脳を調べたところレビー小体という物質が、大脳皮質や脳幹といった部分に集まっていることが分かってこの名前が付きました。
アルツハイマー型は女性に多く、レビー小体型は男性に多いと言われています。
症状
パーキンソン病とよく似た症状
パーキンソン病の症状で有名なのは、『無動』・『固縮』・『振戦』です。
無動とは動かなくなることです。顔の表情が無くなって仮面をかぶったようになる『仮面様顔貌』が見られ、また、体がじっとして動かなくなってしまいます。
固縮は筋肉が硬くなることで、腕を曲げるときにガクッガクッとした動きになります。
振戦は震えのことで、手足が震えることです。
パーキンソン病の症状では、『小声』や、字が小さくなる『小字症』、他には前屈みになってチョコチョコ歩く『小刻み歩行』や、歩き出すとダダーッと歩いてそのまま止まれなくなる『突進歩行』、棒のようにバタンと倒れる『姿勢反射障害』などがあります。
これらパーキンソン病の症状がレビー小体型でもみられます。認知機能よりも先にこれらの症状が出ることも多く、パーキンソン病との区別が困難です。
特徴的な症状は幻視
パーキンソン病と異なる最も大きな点は幻覚があることです。それも『幻視』といって、人間や動物などがハッキリ見えていて、触ろうとすると消えてしまう幻が見えることです。この症状は特徴的です。
目の前に見えるものが、実際に存在するのか存在しないのか、実際に触らないと分からないといいます。
同じ幻覚でも、統合失調症にみられるような命令口調や批判するような『声』が聞こえることはありません。
日内変動がみられる
レビー小体型認知症の他の症状としては、ある時はぼーっとしているかと思うと、まともになったりと、日によって時間によって症状に大きな変化がみられる事が挙げられます。
自律神経の症状
便秘や尿失禁があったり、汗をかいたりといった自律神経による症状が出現し、起立性低血圧も起こしやすいです。
治療
パーキンソン病と同様に脳内物質の『ドーパミン』を増やすような薬を使いますが、レビー小体型認知症の場合には、その薬の効果が出にくいことが多いようです。
また、薬に対する感受性が非常に高くなっていることも多く、薬剤の調整が難しくなってます。
未だこの病気については良く分かっておらず、治療法も確立されていません。
患者さんやご家族が症状に怯えながら、将来に対する希望も持てないまま過ごしているのが実態です。
早く画期的な治療法が見つかってくれればいいと願うばかりです。