遠方にいる両親の病院受診
アラフィフ世代の方の中には、お父さんお母さんが遠方に住んでいる人も多いと思います。高齢者のご夫婦2人だけで、或いは独居、または施設入居など、様々なパターンがあると思います。
健康に過ごされている間は、それでも良いのですが、ひとたび体調に変化が出た時には、離れている身としては何かと心配になります。
今日は、遠方の両親の病院受診についてのお話しです。
都会に暮らす子供と田舎の親
若いうちに都会に出て、そのままマイホームを購入して、子どもも学校に通うようになると、どうしても地元に戻ることは不可能です。
かといって親御さんを都会に呼ぶということも、狭いとか部屋数が少ないなど住環境の問題がある事に加えて、住み慣れた土地を離れる事を親御さんが嫌がることが多くて、どうしても遠方に離れて暮らすことになります。
医療機関との関係
アラフィフ世代の方は、まだまだ体も健康で、それほど医療機関を受診することは少ないと思います。たまに受診するとしても怪我をしたとか、風邪をこじらせて肺炎になったなど比較的短期間の治療を行うと、元の状態に戻って元気になることが保障されています。病院は体を治して貰う場所です。
しかし、高齢のご両親の場合には、複数の慢性的な病気を抱えているのが普通です。通院も必然的に多くなります。医療機関に行って、診察を受けて帰るだけでも大変な労力になります。また、入院ともなれば入院前の状態で退院できる保障はありません。殆どの場合は、以前出来ていた事が出来なくなって帰ってきます。
若い人と高齢の方では、医療機関との関係が異なっているのです。
子どもの心配
ご自身が近くに居れば、病院に連れてゆくことも可能です。医師からの説明も直接聞く事が出来ます。ところが、遠方の場合はどうやって通院させるかが問題となったり、医師から何と言われたのかも要領を得ません。仕方のない事とはいえ、ちゃんと話を聞いて来ない親に対しても苛立ちを覚えたり、分かるように話してくれない医師に対しても不信感を抱いてしまいます。
在宅医の関わり
訪問診療において、患者さんの状態がかなり悪くなっている時などには、遠方のご家族に連絡を取ることがあります。
その時に、普段の様子を余り把握できていない遠方のご家族が、家にそのまま居るのではなく入院や病院受診を希望されることがあります。
在宅医は、【家で出来る治療と病院でしか出来ない治療】があることを熟知しています。また、患者さんの状態についても把握しています。
病院受診しても治癒の見込みが薄い場合、入院すると却って状態が悪化すると思われる場合、そして、家で最期まで看取る方針の場合には、病院受診や入院は必ずしもお勧め出来ないのです。
この事を丁寧に説明しますが、これも最後は「ご本人、ご家族の意向」に沿って、治療方針が決定されます。
ご本人とご家族の方の意見が合わず、惑いの中で病院での最期の時間を迎えられる事もあります。色々な事があっても、最期には住み慣れた家で過ごせるご家庭もあります。最初から同じ思いでご家族の見守られる中、静かな最期の時を迎える方も居ます。
私たち在宅医は、様々なご家庭の【最期の時】を見守ってきました。