『大腿骨頚部骨折』について
お年寄りが転倒してしまい、足の付け根を痛がって立つことが出来ない時には、まず何を考えますか?
今日は、『大腿骨頚部骨折』、お年寄りに多い骨折のお話しです。
大腿骨頚部とは
骨盤と足の骨(大腿骨)をつなぐ関節を、【股関節】と言います。【骨盤】には球状に穴が空いていて、そこに足の【大腿骨】の先が、丸くなって噛み合う形で入っています。そのため、自由に足を動かすことが出来るのです。
【大腿骨】の先の丸い部分より少し下に、くびれて細くなっているところがあります。ここが【大腿骨頚部】です。転倒した時に、最も折れやすい所です。
『大腿骨頚部骨折』の見分け方
『骨折』はレントゲン写真を撮らないと確定診断には至りませんが、簡単に見分ける方法があります。
下肢の短縮
まず、仰向けに寝かせて足を真っ直ぐに伸ばした状態にします。
この時、左右の踵の位置は、揃っているのが普通です。
しかし、『大腿骨頚部骨折』の場合には、折れた方の足は短縮していて、踵の位置に左右差が生まれます。
下肢の外旋
次に【膝の皿(膝蓋骨)】の左右差を確認します。普通は両方とも上を向いていますが、骨折している方は外側に倒れています。
足の付け根が痛い、足の短縮がある、足が外旋している。
この3つが揃えば、まず『大腿骨頚部骨折』と考えて間違いありません。
対応
『骨折』が疑われた時は、整形外科を受診する事になります。1分1秒を争うほど緊急ではありませんが、出来るだけその日に受診しましょう。
ほとんどの場合、動かすと痛がるため救急車での搬送となります。
治療
自然に治癒する事はありませんので、金属で固定する手術を行う必要があります。通常は2,3週間の入院となり、その後リハビリ病院に転院して、さらに2ヶ月程度のリハビリを行います。
合計3ヶ月程度の入院となります。
お年寄りにとって、この3ヶ月の入院は大変な事です。その間に『認知症』が悪くなったり、食事が取れなくなったり、肺炎を起こしたりする危険があります。
お年寄りには【たかが転倒】で、寝たきりになる事もあるのです。でも、転倒しなければ、防げるのも骨折です。
出来たら、骨折しないほうが良いですよね。
身の回りの環境を転倒しないように整えたり、転ばないように注意をする事によって防げます。