『褥瘡』について
介護で寝たきりとなると、『褥瘡』いわゆる『床ずれ』が起こりやすくなります。
今日は『褥瘡』についてのお話しです。
『褥瘡』とは
『褥瘡』とは、寝たきりになるなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることによって、皮膚の一部が赤い色味を帯びたり、ただれたり、傷が出来てしまうことを言います。一般的には『床ずれ』とも言われています。
肉が少なく骨が出ているところに出来やすく、【姿勢によって出来やすい場所】が異なります。
- 仰向けの場合:お尻や背中、後頭部、肩甲骨の周りなど
- 横向きの場合:耳・肩・ひじ・腰の周り・ひざ・くるぶしなど
- 座っている場合:背中・座骨部(骨盤の底の部分)・尾骨部分など
赤い部分を指で圧迫しても白くならずに赤いままの場合は、『褥瘡』の初期の可能性があります。
『褥瘡』の起こるメカニズム
『褥瘡』は【圧力】と、【ずれ応力】の2種類が影響します。
- 【圧力】は垂直方向に単位面積あたりにかかる力
- 【ずれ応力】は圧力が加わった状態で、水平方向にかかる摩擦力
予防
圧力とずれ応力を減らすことにより褥瘡を予防します。
具体的には、
圧力を減らすためには、【体位の交換】をしたり、【体圧分散マット】や【エアーマット】を使用します。
ずれ応力を減らすためには、摩擦が少なくなるように【ワセリン】を塗る、【フィルム】を使うなどがあります。
また、栄養不足も褥瘡の原因といわれており、栄養が不足している場合には【栄養補助食品】を使うこともあります。
治療
乾燥は傷の治りを悪くするので、【創部は毎日洗浄】し、フィルムなどを使い【湿潤を保つ湿潤療法】を行います。
症状に応じて【塗り薬】と【ドレッシング材】と呼ばれるフィルムと吸収素材を合わせたものを使います。内部に膿が溜まっている場合には、【切開して創部を綺麗にする】こともあります。
『褥瘡』になったら
入院中には『褥瘡』を作らないように、各病院は努力しており、褥瘡委員会を設置してこまめに患者の状態をチェックしています。それでも、どうしても発生してしまいます。
在宅の場合には、寝たきりの人が多い為に、介護者がいくら注意していても、尚更『褥瘡』になりやすいと思います。
『褥瘡』は、ならないように工夫することが必要ですが、なったからと言って悲観する必要はありません。適切な手当を行えば、必ず良くなります。