さあ大変だ!圧迫骨折
高齢者が転倒して尻餅をついたと呼ばれて、往診に伺うことがよくあります。
その場合、まず思い浮かべるのは胸椎や腰椎の圧迫骨折と大腿骨頸部骨折です。
今日は圧迫骨折のお話です。
人間の背骨
人間の背骨は首が7個、胸が12個、腰が5個の合わせて24個の骨が積み重なって出来ています。石臼のような円柱形の骨が積み重なってつながっているのです。一つ一つがバラバラに動ける訳ではありませんが、上下の骨との関係を保ちながら、ある程度は前後にしなったり、ねじったりすることが出来ます。
このため体を前屈みにしたり、後ろにそったり、体をねじったり出来るのです。
圧迫骨折はどうしてなる?
では尻餅をつくとどうなるでしょう?
背骨が上下から力が加わりことにより、つぶれてしまうのです。
背骨の強度は均一ではなく、背中側は丈夫にできていて、お腹側が弱いのでつぶれてしまいます。
そうなると背中が前に曲がってしまうのです。
背骨は体の中心を走り、体重を支えますので、当然強度が必要です。
しかし、年齢と共に骨がもろくなりつぶれてしまいます。
お年寄りになると腰が曲がっている人が多いのは、圧迫骨折を繰り返していることが一つの原因です。
圧迫骨折の症状
圧迫骨折を起こすと体を動かすときに痛みが出ます。かなり痛みが強いため、これが本人にとっては辛い事です。
そして痛みのため、体を動かすことが出来なくなります。
そうなると介護をする側の人も困ってしまいます。
トイレに立てなくなって急にオムツにしなければならなくなりますし、オムツを替えるときにも痛がるようになってしまいます。また食事のために座ることも出来ず、食事もとれなくなります。
このようなことが続けば、高齢者はすぐに寝たきりとなりますし、介護力不足で生活自体が破綻してしまうことにもなりかねません。
治療
通常は、整形外科を受診することになります。そこで圧迫骨折の診断となれば、入院してリハビリを行ってゆきます。
根本的な治療はありませんので、痛み止めを使い、コルセットを使用することで痛みは軽減されます。
簡易のベルトを使うこともあります。
リハビリは早期から開始します。通常期間は1,2ヶ月程度です。
骨折前の状態に戻れるのが理想ですが、なかなか同じ状態まで戻るのは困難です。
予防
ちょっとした事で骨折は起こります。
身の回りで転倒しやすい環境がないか確認して、直せるものは直すことが重要です。
手すりも必要であれば、介護保険で設置することが可能です。
滑りにくい床にする、照明を明るくするなどということも有効です。
夜中、お手洗いに立つときは特に注意が必要です。100円均一などで売っているコンセントに直付けする常夜灯を、寝室からトイレまでの間に付けるのも良いですね。
圧迫骨折によって日常生活は、がらりと変わってしまいます。
予防すると共に、転倒した場合には早めの受診が必要です。
寝たきりにならないためには、とても大切なことですね。