『双極性障害』知ってます?


『うつ病』だと思っていたら、突如別人のように活動的になる方を見たことがありませんか。
うつ病』と良く似ている症状の病気、それは『躁うつ病(双極性障害)』です。

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今日は、『双極性障害』のお話しです。

ある患者の話

80歳代男性が、1年以上前から殆ど食事が取れなくなって、入院し検査を受けましたが原因が分からず、自宅に戻ってきました。その時から、訪問診療に伺うようになりました。

初診時には、既に骨と皮の様に極度に痩せていました。固形物は全く食べられず、栄養剤を飲んで何とか生きながらえている状態でした。訪問する度に、「しんどい。何時あの世に逝ってもよい。」と発言します。

初めの頃は、まだ1人で歩いてトイレに行っていましたが、次第に歩けなくなって、ポータブルトイレに移動するのもやっとになりました。

何ヶ月か経った頃、うつ状態と判断して【抗うつ薬】をごく少量始めたところ、2日目から変化が現れます。一日中起きていて、大きな声でしゃべり散らすようになりました。すぐに薬は中止しましたが、その後も興奮状態が続きました。

今までベッドから動けない状態であったのに、「散髪をしたり、訪問入浴に行ったり、泌尿器科や整形外科、消化器内科に行く」と言いだしたり、車いすを借りて自分で動こうとしたり、自宅のカラオケで歌ったりするようになりました。
活動的で良いことではあるのですが、明らかに様子が変です。
奥さんに聞くと、「昔から気分に波があって、何ヶ月か何年か毎に、このように興奮状態になる事がありました」との事です。

そこで、『双極性障害』を疑う事になりました。

『うつ病』との区別

『うつ病』と『双極性障害』を初期に区別することは困難です。
短い時間に「躁」と「うつ」を繰り返すことがあれば簡単ですが、うつ状態が長くて、時には何年も続き、その後、躁状態となるパターンの場合もあります。この時には、はじめの状態は、『うつ病』と同じです。

うつ状態は同じですが「躁」があるかないかが見極めのポイントです。この2つの病気は、全く異なる病気と考えられています。

『双極性障害』の特徴

うつ状態と躁状態を繰り返すことが特徴です。
うつ状態は『うつ病』と同じです。
躁状態の時には、端から見て異常な程ハイテンションになります。
初期には明るく開放的であることもありますが、症状が悪化するとイライラして怒りっぽくなる場合も多くなります。賭け事などに散財することもあり、社会的には、離婚や破産など種々のトラブルを引き起こすことが多いといわれています。

治療薬

『うつ病』には抗うつ薬を使いますが、『双極性障害』には別の薬が必要となります。
『双極性障害』の治療薬は副作用が多く、定期的に血液検査をしなければならないものが殆どです。

最近『うつ病』の治療は、内科などの外来でも行われることがありますが、『双極性障害』は基本的に精神科での治療となります。

この患者さんの場合は、通院するのが困難ですので精神科と連携を取って見てゆくことになりそうです。

『うつ病』と『双極性障害』は別の病気で、別の治療が必要です。

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