急性腹症シリーズ 虫垂炎
『急性腹症』とは、急に腹痛がおこる疾患の総称です。よく耳にする病気ばかりですが、早めの診断・治療が大切なものばかりです。いくつか、シリーズで紹介します。
今回は第1回『虫垂炎』です。
虫垂炎とは
虫垂炎は通称『盲腸』とも呼ばれています。
お腹の右下、小腸と大腸のつなぎの部分より更に少し下の大腸に付いている虫垂という紐のような部分に、糞石などが詰まって炎症を起こすものです。
全ての年齢の人に起こりますが、若者の割合が高くなっています。
症状
典型的には、次の症状があります。
- みぞおち辺りの場所がハッキリしない痛み
- 食欲不振・吐き気
- 次第に右下へ痛みが移動し、ハッキリとした痛みになる
- 熱が出る
- 採血では白血球が上がる
以上の経過を辿ります。
この順番が大切で、腹痛の前に食欲不振・吐き気は来ないというのが普通です。この点が感染性腸炎との鑑別には有効です。
診断
問診と診断、検査で診断します。
右下腹部を押して痛がる、爪先立ちからドンと踵を落とした時にお腹に響くなどの身体所見、発熱などのバイタルサイン、採血結果、CT・エコー検査などです。
痛みや経過が典型的であれば診断は簡単なのですが、通常とは違う経過であったり、痛む場所が左であったり、背中であったりすると診断が困難な場合があります。
治療
初期で軽症の場合は、抗生剤の内服で様子をみることもありますが、急な腹痛で医療機関を受診した場合には、手術になることが多いようです。
糖尿病の方は、痛みを感じにくくなっており、気がついた時点では、重症になっているケースもあります。
虫垂が破れて腹膜炎を起こすと、場合によっては命を落とすことにもなりかねません。
早めの受診が大切ですね。