飲み込みについて


人は生まれてからずっと何かを口に入れ、それを飲み込んで生きてゆきます。

赤ちゃんの頃は母乳や水分から始まり、徐々に歯が生えてきて固形物を咀嚼し飲み込む事が出来るようになります。
歳をとって終末期を迎えると、今度は逆に飲み込むことが出来なくなります。
この場合は、水分が噎せて飲み込みにくくなる事から始まって、徐々に固形物の飲み込みも上手く出来なくなります。

飲み込みが出来なくなると、喉に水分や食べ物が溜まり、一部は気管に入ってしまうようになります。
こうなってくると、『肺炎(誤嚥性肺炎)』になって、治療が必要なケースも出てきます。
また、喉に溜まって息が吸いにくくなるので、管を使って吸引することが必要になってきます。
吸引されると苦しいので、される方は必死で抵抗し、するほうは抑えつけてでも何とか取ってあげたいと頑張ります。
お互いしんどいことになります。

飲み込みが出来なくなった原因が、脳梗塞などの病気の場合は『胃瘻』を造るなど、喉以外から水分や栄養を取る方法を用います。
この場合は、飲み込む行為自体に問題があり、内臓は問題が無いことが多いので有効な方法です。
しかし、終末期で飲み込みが出来なくなった時には、水分や栄養を体が処理できなくなって来ている時期でもあります。
このときに胃瘻や点滴から水分や栄養を体内に入れていると、体が処理できずに余った水分は唾液や痰となって出てきます。
そうなると吸引が必要になってきます。

体の処理能力に合わせて水分を徐々に減らしてゆくと、最期まで吸引することもなく、穏やかに過ごすことができます。
家で最期を看取る方は、ほとんど最期は点滴をせずに、ゆっくりとした時間を過ごします。
『草木のように、枯れるように』最期を迎えることは自然なことだと思います。

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