おしっこや便の介護


人間生きている限り、必ずおしっこや便の排泄があります。
これらが自立している時は良いのですが、自分で出来なくなってしまうと、誰かに介護して貰わなければなりません。
おしっこや便が出るのは毎日の事なので、介護はとても重労働です。

今日は、おしっこや便のお話です。

状態による介護の違い

トイレ介助

尿や便の介護には、色々な段階があります。
自分で立ったり座ったりは出来ても、パンツの上げ下ろしや、上手く紙でお尻を拭くことが出来ない状態の時には、誰かがおしっこや便が出るのを「見守って介助」します。
便の回数はそれほど多くありませんが、おしっこは回数が多くあります。特に高齢になると排尿回数が増え、夜間でも数時間毎にトイレに行きたくなります。
その都度トイレに連れて行って介助することは、家族に相当の負担が掛かります。
このような場合は、夜間だけでも「ポータブルトイレ」をベッドの脇に置いて使うことを勧めます。

紙おむつ

自分で立っていることが出来なくなると、誰かが抱えてトイレに座らせなければなりません。
こうなると「紙おむつ」を使用せざるを得なくなります。
「紙おむつ」は排便があればその都度、排尿も量によっては数回で交換する必要があります。
放っておくとオムツかぶれや感染、褥瘡の原因になりますし、悪臭がするので周囲の人にも良くありません。
おむつ交換は、先ず寝ている状態でズボンを下ろして、汚れたおむつを取り除きます。それから、濡れティッシュなどで陰部を清潔に拭きます。そして、新しいオムツを着けてズボンを上げます。
この時に赤ちゃんのおむつを替える時のように体が仰向きではやりにくいので、大人の場合では、左右の足を片方ずつ、横向きに体位交換させながら行います。
一人でおむつ交換を行うことは相当大変です。
『認知症』が進んで介護に抵抗がある時や、『脳梗塞』後遺症で麻痺がある場合には、更に労力が掛かります。

カテーテル留置

尿が出せずに膀胱に溜まってしまうような排尿障害の時には、【尿道カテーテル】という管を膀胱まで挿入する事があります。これは、手術の後など必ず着ける必要がある時もありますが、患者が寝たきりとなって家族の介護負担が大きい時に少しでも負担を減らす為に挿入するケースもあります。カテーテルが入るとオムツの交換は少なくなりますが、医師や看護師による定期的な交換が必要となります。
在宅療養中であれば、訪問診療や訪問看護で【カテーテル交換】を行います。だいたい月1回交換することになります。

介護サービスの利用

介護は家族だけでおこなうことは不可能ですので、介護保険によるサービスをうまく利用することが必要です。自分が介護する事、いつかは介護される事です。自分の身を守る為にも、どんなサービスが受けられるのか、どこに相談すれば良いのか学んで知識を得て下さい。
トイレ介助やおむつ交換は、ヘルパーでも可能です。

最期までカテーテルやオムツのお世話にならず、トイレで済ますことが理想ですが、現実的にはなかなか困難です。
以前、老衰で「自宅看取り」となった方は、最期まで意識がはっきりとしオムツを拒否されていて、「自分でトイレに行く」と言いました。そして、亡くなるその前日まで、夜中でも娘さん夫婦が二人掛かりで抱えてトイレに座らせていました。これは、かなり稀なケースです。本人の意思がしっかりあったこと、支える家族に心理的・体力的に余裕があったことに加え、介護期間が短かったことから可能だったと思います。

介護において「下の世話」は避けては通れません。家族の負担が大きいので、うまく介護サービスを利用することが大切です。

 

Follow me!


前の記事

僻地の介護

次の記事

救命処置のススメ